私の家族へ。
独身である最後の一週間になった。
今、私は両親の住む実家で、自分の部屋で、大好きな本を読みながら寝転んでいる。
あと数日で自分は完全に人の妻になる。
婚約者とは同居を始めて二ヶ月になる。
ところが、まるで10年前にもしていたような、すねかじりの独身のぐうたらな一日を、いまこんなタイミングで過ごしているなんて、
意外だし、なんだかとても幸せだ。
長い間、特に二十代の10年間は、
自分は立派な大人になれるのか、不安に思ってきた。悩んできた。
あと数日で、この家の娘である肩書きがなくなる。
満32歳。32年間慣れ親しんだ名前ともあと数日で別れなくてはならない。
そう考えただけでも、とても寂しい。
そんなことだけで寂しいと感じる私が、立派に妻として、嫁として、母としてやっていけるだろうか。
赤ん坊が、生まれてすぐには立てないように、私も、妻としても嫁としてもまだ0歳で、満足に一人で歩けるには時間がかかるのだろうと思う。
周りの人はそれを待ってくれるだろうし、支えてくれるだろうと思う。
私はそれに応えて、努力しようと思う。
理想通りにはならないだろうけど、良くなるための努力はしようと思う。
それが皆んなの気持ちに応える方法だと思う。
こうやって、なんの心配もなくこの家で、この部屋で、この寝床に横たわっていられること。
なににも代え難い幸せだと思う。
お金でも買えない恵みだと思う。
本当にありがとうございます。
いままで、本当にありがとうございました。
これからも、どうぞよろしくお願いします。