いまNHKで松坂大輔の特集やってる。
高校の甲子園の活躍から、プロ入りくらいの頃の映像が流れている。
何気なくみていたら、あることに気が付いてしまった。
彼は私の昔の彼にとても似ている。


なぜまた今頃、そんな別れた人を思い出してしまったんだろう。
それで、なぜ今頃、松坂に似ていると思うんだろう。
あの頃はそんなこと思いもしなかったのに。



たぶん、当時はもう松坂もだいぶ大人になっていたから(松坂は私達より年上)
高校生の頃の微妙な面影はなかったんだろう。
でもその松坂の高校生の時の目つきや表情が、とても彼に似てた。


本物の彼は、いまどうしているのか知らないし、年始めごろに駅でばったり会った時は
正直顔をしっかり見るほどの余裕はなかったから、今は、別人だったのかもしれないとさえ思う。
でもテレビの中の松坂の顔が、どうしても振り払えないズキズキする感覚を考えると、
やっぱり「似てる」「彼だ」と脳が認識しているんだろう。
その「脳の認識」も、どれほど確実なものかもわからないのに。
人はすぐ記憶を美化しちゃうから。


そういえば高畑勲の本に書いてあった。
「記憶を美化したものを、‘思い出‘というのだろう。」
みたいなことを。


もう思い出したくない。
彼とはいい別れ方をしなかったから、美化しようにもできないところもあるし。
顔の記憶は消そうとした。
思い出さないようにすると、人間ってやっぱりわすれるもので、
しばらくはほんとに顔がぼんやりしてた。

だから、こうやってふいにボタンを押されちゃうと、出てきちゃうんだよ。
やめてほしいな。


こんな昔の人ばかりに気をとられる自分は嫌だ。
ほんとに。